新作能「田道間守」公演記録

     上演日(初演):平成26年3月1日  於:兵庫県 豊岡市民プラザ


INTRODUCTION
田道間守(たじまもり)は、古代・垂仁天皇の命を受けて常世の国へ行き
「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を持ち帰ったという神である。
非時香菓とは橘(たちばな)のことで、菓子の元祖であるという考えから、
田道間守は菓祖神(かそしん)として崇められており、
兵庫県豊岡市三宅の中嶋神社に祀られている。

新作能「田道間守(たじまもり)」は、兵庫県豊岡市大手町の豊岡市民プラザが
10周年を記念して平成26年3月に初演。
監修・林喜右衛門、
演出・梅若玄祥、
製作・「田道間守」製作委員会、
脚本・田茂井廣道の手になる、新たに作られた作品である。

   ※ 新作能「田道間守」謡本は豊岡市民プラザ・檜書店売店(京都観世会館内)にてお求めいただけます。

scene1

都の菓子職人が城崎温泉に向かう途中、但馬国・豊岡の地、円山川あたりまでやってくる。

scene2

折しも初夏。早苗田の景色を眺めていると、白い鳥が飛んできて松の枝にとまる。

scene3

どこからともなく老人が現れ、あの白い鳥は鶴ではなくコウノトリであると旅人に教える。
そしてコウノトリの謂れを詳しく語って聞かせる。

scene4

旅人が菓子職人であることを知った老人は、但馬国にある「菓祖」中嶋神社へ案内する。
境内には橘の花が咲き、良い香りを放っている。
































scene5

老人は橘のこと、田道間守のことを詳しく語る。
あまりに詳しいので旅人は「あなたは誰なのか」と老人に尋ねる。
老人は自分が田道間守の化身であることを明かし、「夜すがら現れ、橘のまことを伝えよう」と行って姿を消す。

scene6

地元の小学校の先生が登場する。
但馬国の魅力を独り言に話すうちに、中嶋神社にやってくる。

scene7

先生は旅人に出会い、事情を聞く。。
菓子職人ならば菓祖神を祀る中嶋神社に参るのは道理だと言い、田道間守の化身に出会ったことも、旅人の心が素直なゆえの奇特だと言う。

やがて小学校の子どもたちも神社に現れる。

scene8

子どもたちは中嶋神社にお参りし、旅人に「田道間守の歌」を歌って聞かせる。
歌い終わると、先生と子どもたちは帰っていく。






























scene9

先生と子どもたちが帰るとどこからともなく美しい音楽が聞こえてきて、橘の精が舞い降りてくる。

scene10

続いて田道間守の神霊も現れる。

scene11

田道間守の神霊は、非時香菓(橘)を常世の国より持ち帰ったありさまを再現してみせる。

scene12

田道間守の神霊は旅人に非時香菓を授ける。





























finale 田道間守の神霊は、菓子が世の中に泰平をもたらすことを予祝する。


                                                               写真撮影 上杉遥 
                                                                   (画像の無断転載等はご遠慮ください)